※本シリーズでは、ミドリナ委員会が主催・運営するさまざまなアクションの紹介を通じて、ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」に込められた想いをご紹介します。
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」P3 「2066年 浸透する森」より
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」において、私たちは2066年の伊那市がめざすソーシャルフォレストリー都市の姿を「浸透する森」と表現し、構成する要素として上記の3つを挙げました。
2021年からミドリナ委員会が主催となり開催している「midorina 森のマルシェ」は、まさにそれを体現した催しだと考えています。
伊那市内や地域の林業関連事業者や木工作家、森に関わるメニューを提供してくれる飲食店などが参加し、来場者は各出店者が企画した企画に参加したり、木工作品を購入する。それは一見すれば手工芸品を販売・購入するクラフトマルシェと変わらない光景かもしれません。しかし、こうした場に林業者が参加するような事例は、これまでほとんどみられなかったといえます。
来場者は思い思いの企画に参加し、地域で森と関わる人々との交流や学びの時間をすごしますが、じつはそれは「与える─受け取る」の一方的な関係ではなく、双方向に知恵を交換し合うとなっているはずです。「木工品はこうしてケアすれば長持ちするんだ」「これまでどうしていいか分からなかったあの木の管理をこの人に相談してみたいかな」と来場者が感じているとき、事業者は「今はこういう木製品が求められているんだ」「宣伝していたつもりだったけれど、自分たちの仕事はまだまだ知られていないんだな」と感じているかもしれません。
そんなふうに、さまざまな立場の人が集うことで、知恵や関係性を持ち帰り、それぞれの日常に生かすことができたなら、これもまたソーシャルフォレストリー都市実現への大切な一歩のかたちと言えるのではないでしょうか。
ミドリナ委員会では「森と暮らしの手引き」の第2部「ソーシャルフォレストリー都市を実現する仕組みづくり」のなかで、「事例の可視化」の重要性について触れています。
ここで語られている「可視化」は情報データ蓄積のイメージが中心ですが、言うまでもなくデータはそれだけで生きるのではありません。人と人との出会いからはじまる有機的な関係性にのなかでこそ大いに生かされるものでしょう。
また、林業関連事業が地域の人々の経済の輪のなかに入っていく、ということも、森マルシェが重要と考えているきっかけづくりの一つです。
いま、地元の野菜なら各地に点在する産直市場で買うことができますが、地元の木材や木製品はどうでしょう。市民が地域材を「それとは意識しなくても自然と手に取っていたり、使っていたりする」という状況になることもまた、私たちが「浸透する森」として思い描く姿のひとつです。できることならさらに一歩進んで、日常のなかで自然とDIYを行い、地域材と一般的な木材を必要に応じて使い分けられるほどに、技術と知識を高めていきたいものです。
森のマルシェはこれまで、森の中だけでなく、街の中や公園、製剤所の敷地などでも開催してきました。どこにいても、私たちは森とつながっている、つながることができる。そんなメッセージを胸に、これからも多くの事業者や市民とともに開催を重ねていきます。
参照:
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」
P3「浸透する森」、P6〜「1.『森感度』を育む」、P8〜「2.森の『快』と暮らす/1.建物・3DIY・4エネルギー・6食・7癒し・8創造(クリエイティビティ)」/P14〜ソーシャルフォレストリー都市を実現する仕組みづくり「6.多様な事例の可視化と『顔が見える』ネットワーク構築を」
「森と暮らしの手引き」はこちらからご覧いただけます。
https://midorina.jp/news/1271/