【シリーズ:ミドリナリポート】#4 くらしのキット 2023.03.21 リポート

※本シリーズでは、ミドリナ委員会が主催・運営するさまざまなアクションの紹介を通じて、ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」に込められた想いをご紹介します。

家具、食器、箱、桶・樽など、身の回りの道具を木製のものに置き換えてみる。そんなことからでも、森や木を感じる暮らしは実践できます。(中略)少し意識して見回してみるだけで、すぐに取り入れられそうな森の恵みは予想以上にたくさんあり、私たちの日々を取り巻いています。

 
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」P8 「森の『快』と暮らす」2.道具 より

伊那市は森に恵まれた街です。しかし、どれほどの市民がその恵みを暮らしの中に取り入れられているでしょうか。たとえば、地域の木材=地域材。身近にあっても、日々の暮らしのなかではなかなか気づくことができない、気づいたとしても、大きな木材などを扱う道具がなかったり、手間がかかることにハードルを感じる、など、地域材が市民の間に浸透していくにはまだまだ課題が多そうです。

そこでミドリナ委員会は、プレカットを施してあとは組み立てるだけのコンポスター(生ゴミ処理装置)やレイズドベッド(畑や花壇が簡単に作れる枠)、巣箱のキットを、地域材を活かしたDIY用の木材販売等を行う合同会社「ラーチアンドパイン」とともに開発しました。これが「くらしのキット」です。

2022年には開発したキットを組み立てる催しを、「たき火の日」、「ミドリナ 森のマルシェ」、「ミドリナカフェ」の計3回実施。参加者たちに販売しました。

とくに印象的だったのは、ミドリナカフェで行った巣箱づくりの様子。あえてどのようにつくるかの指導などをおこなわず、それぞれが完成品を前に部品とにらめっこ。最短距離で手早く作業的に工作をするのではなく、森のなかで、想像力を膨らませながら取り組んでみるのが狙いでした。
結果、親子で参加し父と子が相談し合う姿がみられたり、子どもがリードする場面があったり。そんな経験もまた、「森時間」を思い出深い記憶となったとの声が参加者から寄せられました。

「森と暮らしの手引き」の第1部、「森感度を育む」のなかには、「長い時間をかけて、じっくりと」という項目があります。

答えを早く出す必要はありません。むしろ長い時間軸のなか、自然の営みをじっくりと身体で感じ取ってみる。そんな学びを継続していくことで、少しずつ、たしかに、奥深い「森感度」が育まれていくはずです。

 
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」P7より

木材と触れ合い、森感度を育む。その木に地域材を使うことで、伊那の森が生かされ、新たな経済が生まれていく。これからも、ゆるやかで小さな循環の一歩を、「くらしのキット」がもたらしてくれることを願っています。

参照:
ミドリナ白書要約版「森と暮らしの手引き」
P6〜「1.『森感度』を育む」、P8〜「2.森の『快』と暮らす/2道具・3DIY・8創造(クリエイティビティ)」、P14「1.『市民の森』を、森林コミュニティの入り口に」

「森と暮らしの手引き」はこちらからご覧いただけます。
https://midorina.jp/news/1271/

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