ミドリナ クォリティ Vol.6[学校の森 子どもサミット] 2020.01.31 QUALITY

ミドリナ クォリティ Vol.6 学校の森 子どもサミット

令和元年11月2日(土)、「令和元年度 学校の森・子どもサミット」が長野県伊那市立伊那西小学校にて開催されました。

「学校の森 子どもサミット」とは

「学校の森・子どもサミット」は、全国にある国有林の各管理署で開催されてきた「学校林・遊々の森 全国子どもサミット」の後を継いで、2014年から開催されてきた活動です。森林を活用した学校での授業や体験活動が子どもたちの生きる力を育み、学びや育ちに多くの恩恵があることを全国で発表し続けてきました。2019 年、その「学校の森・子どもサミット」開催のバトンが長野県伊那市に巡ってきました。そのバトンを託されたのが、わたしたちミドリナです。
今年度は、これまでの「学校活動」の枠を飛び出し、“子ども” の意味を広げたサミットへと移行させる重要な役割を担う年でした。 「誰もが森とつながる伊那市の未来」を目指すミドリナにとっても、子どもと森の接点を増やすことは欠かすことのできないテーマです。森から学び、森を慈しみ、森とともに歩む未来を描く。今回のサミット開催は、「ソーシャルフォレストリー都市」伊那市の実現に向かうためのミドリナにとって大きな学びとなりました。開催の機会をいただいたこと、国や県をはじめ、多くの関係機関の皆様にご協力いただいたことに深く感謝いたします。

伊那西小学校の森散策

「森はぼくらの教室だ」をテーマに、校舎に隣接した学校林で年間を通して授業や様々な活動を行う伊那西小学校。子どもサミットの開演に先駆け、林内活動が各学年ごとに行われました。

林内活動・実施内容

  • 1年生「しゃぼんだま遊び」
  • 2年生「落ち葉のドレスづくり」
  • 3年生「チョウの学習」
  • 4年生「あく抜き用灰作り」
  • 5年生「リタートラップの観察」
  • 6年生「森の観察・樹高調べ」
伊那西小学校の森散策
1年生「しゃぼんだま遊び」
2年生「落ち葉のドレスづくり」
3年生「チョウの学習」
4年生「あく抜き用灰作り」
5年生「リタートラップの観察」
6年生「森の観察・樹高調べ」

第1部 「子どもサミットのこれまで」

これまでの学校の森・子どもサミットの成果を各学校の事例などから紹介しました。
学校と森が離れていたり、森との関わり方に迷いながらも、様々な状況で森とつながる取り組みをしてきた先生たちの声を聞きました。

  • 井戸 しのぶ先生
  • 大澤 昇治先生
  • 小川 恭平先生
  • 鳥越 厳之先生
  • 二木 栄次先生
  • 井戸 しのぶ先生

    井戸 しのぶ先生

    東京都八王子市立山田小学校

     東京都では最大の約0.7ヘクタールの学校林を持つ「多摩市立豊ヶ丘小学校」。井戸先生は森の活動を通じて「自分たちで気づき、活動する」子どもたちの姿を目の当たりにしました。「整備グループ」「調査グループ」「制作グループ」などさまざまなグループが発足しましたが、そのひとつ「看板グループ」は学校林の入口の看板が外れていることに”気づいた”子どもたちが発足したグループ。看板を作ろう!と、デザイン、見積もり、校長先生への交渉を行いましたがお金がありません。しかしそこで諦めることなく、森で見つけた丸太を薄切りにして自分たちで看板作りに励みました。つるや枝で文字を書き、どちらがいいか学年に問いかけるなど検討を重ね、自分たちらしい看板を“無料”で作ることに成功したのです。
     活動に際し、学校が行ったのは子どもたちがやりたい活動を保証するための準備。人を繋ぐなど地域の財をあらかじめコーディネートしておくことが土台になりました。また、さまざまなグループが同時に活動を進める中で先生が大切にしたのは立ち止まって考える時間。他のグループの活動を共有し、視野を広げさせることで次へのヒントに繋げました。先生はこう話します。
     「森の活動によって森の環境問題が解決できたのかどうか。それは簡単には答えの出ないものであり、ジャッジすることはできません。しかし、子どもたちは間違いなく自分に自信を持ち力をつけたと言えます。また、そういう子どもたちから教員は力を得て、学校も変わっていったと実感しています」

「子どもサミットのこれまで」
「子どもサミットのこれまで」
「子どもサミットのこれまで」
「子どもサミットのこれまで」

第2部 トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」

サミットの第2部ではトークセッションを行いました。第1部の発表者の皆さんに加え、コメンテーターに東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 教授の上原 巌先生、ファシリテーターにフリーパーソナリティの武田 徹さん、野外保育「山の遊び舎 はらぺこ」卒園生で高校3年生の林 慈雨(じう)さん、同園で保育士として働く母・美紀さんをお迎えし、森と触れて生活することによる効能をセッションしました。

登壇者の皆さん

ファシリテーター コメンテーター
・武田 徹 さん ・上原 巌 教授
・林 慈雨(じう )さん ・林 美紀 さん
・井戸 しのぶ 先生 ・大澤 昇治 先生
・小川 恭平 先生 ・鳥越 厳之 先生
・二木 栄次 先生
トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」
トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」
トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」
トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」
トークセッション「森で起きたこと・森と触れる効能」

トークセッションの詳しい内容は
こちらをご覧ください

報告書PDF

第3部 「森がぼくらの教室だ」

ちょっと視点を変えると森への入り口がぐっと広がる・・・そんな体験を第3部では実施。映像と音楽を通して、どこにいても森が教室となるヒントが紹介されました。
伊那市では森林をより良い形で次の世代へつなぐために「伊那市50年の森林(もり)ビジョン」を掲げて様々な取り組みを行っています。「子どもと森」と題した映像では、幼少期の森との関わり方とその効果についてインタビュー形式で紹介。続いて、伊那市長の白鳥孝さん、映像をプロデュースした伊那市ミドリナ委員会委員長の柘植伊佐夫さん、武田徹さんが登壇し、伊那市の取り組みについて改めて解説しました。
そして最後には「学校の森ミニコンサート」を開催。世界を魅了するバリトン歌手・高橋正典さんと、伊那市出身の「魂を揺るがすピアニスト」平澤真希さんが登壇し、平澤さん作曲の「聖なる樹の声」、シュトラウス作曲「Morgen モルゲン」などを披露しました。

実施プログラム

  • 映像による「伊那市50年の森林(もり)」ビジョンの紹介
  • 伊那市長 白鳥 孝さん×ミドリナ実行委員長 柘植伊佐夫さんによる伊那市の取り組みの紹介
  • 学校の森ミニコンサート(出演:バリトン歌手 高橋正典さん、ピアニスト 平澤真希さん、伊那中学校合唱部の皆さん)
「森がぼくらの教室だ」
「森がぼくらの教室だ」
「森がぼくらの教室だ」
「森がぼくらの教室だ」

おわりに

 2019年、長野県伊那市での開催となった「学校の森・子どもサミット」。ラストイヤーとなる今年度は、これまでの「学校活動」からその枠を飛び出し、“子ども”の意味を広げたサミットへと転換させるべく、従来にはない新たなプログラムを設けて開催しました。参加者の皆様からは「森を体感するための新たな視点が開けた」「森を感じ、学ぶことの大切さを一層実感した」「近くに森がなくても、様々な方法で森を感じられることに気がついた」など反響の声をいただき、それぞれに新たな扉を開くきっかけとなったようです。
 小さな身体に無限の可能性を秘めている子どもたち。幼少期での森との触れ合いは子どもたちと自然との距離をぐっと近づけ、これからの時代に必要不可欠な「自ら考え、行動できる力」を育みます。そしてその隣には子どもたちを信じ、過分な手助けはせずに見守りながら陰でサポートする熱意を持った先生たちの姿がありました。森であそび、森から学び、森を慈しむ。森林環境教育の大切さ、素晴らしさを改めて感じることのできた子どもサミットでした。

おわりに

学校の森 子どもサミットの詳しい内容は
こちらをご覧ください

報告書PDF

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