森JOYは、森を感じ、味わい、遊び、語り合う一日です。
台風一過、秋晴れの週末。「市民の森(ますみヶ丘平地林)」で、第7回となる伊那市ミドリナ委員会主催のイベント「森JOY」を開催しました。森の入口は、伊那市横山にある見晴らしのよい鳩吹公園のなか。園内にある動物除けの柵を通り、アカマツやサワラ、コナラなどに囲まれた小道をテクテクと下っていくと、会場である広場にたどり着きます。
今年の森JOYも「森でわきあいあい!」というテーマのもと、音楽、グルメ、体験などさまざまなプログラムが充実。子どもから大人まで、約1200人が森と親しむ一日となりました。とくにイベントの大きな目玉となったのは、センターステージで行われた森のコンサート第3部の全員合唱です。伊那市出身のピアニスト平澤真希さんの伴奏とともに、伊那小学校・東春近小学校・伊那北高校に通う100人以上の生徒たちと世界で活躍するバリトン歌手髙橋正典さんによって奏でられた重厚なハーモニーは、森の木々と聴衆の心に深く響き渡ったことでしょう。
森JOYの魅力はプログラムだけに留まりません。木立のなかを駆け回り、ハンモックに揺られ、ペレット砂場や間伐材のおもちゃに熱中する無邪気な子どもたちと、その様子を見守りながら談笑する大人たち。主催であるミドリナ委員会が目指す「浸透する森」を体現するかのように、参加者ひとりひとりが森のなかで自由に過ごす姿を、会場内の随所で見かけることができました。
快晴に恵まれ、まさに“和気藹々”なムードに包まれた森JOY。
ちなみに、森JOYは「森と歓喜する」という意味を込めた造語で、森と人が手をつなぐことで現れる美しさを「森・人・美」というコンセプトに込めて活動している伊那市ミドリナ委員会が、市民のみなさんを森へ誘うために立ち上げたイベントです。
森の息吹、森の声、森の手触りを感じ、「豊かな森がすぐそばにある」という気づきを得る。そして暮らしのなかに森が浸透していく。
森JOYが、参加者の方々にそうした体験をお届けする機会となっていることを願いながら、ミドリナ委員会はこれからも活動を続けていきます。
毎年、来場客の方々に森のなかの特別な音楽体験を届けている、ピアニストの平澤真希さんとバリトン歌手の髙橋正典さん。3部構成でそれぞれテーマを設け、地域の子どもたちとともに深みのあるステージを演出してくれました。
午前に行われた第1部のテーマは「宇宙」。平澤さんは「トロイメライ」(作曲:シューマン/『子供の情景』より)、「月の光」(作曲:ドビュッシー/『ベルガマスク組曲』より)を演奏し、髙橋さんは平澤さんの伴奏に乗せて「Vaga
luna, che inargenti
優雅な月よ」(作詞:不詳/作曲:V.ベッリーニ/『3つのアリエッタ』より)と「星めぐりの歌」(作詞・作曲:宮沢賢治)を歌い上げました。こもれびのスポットライトの下で奏でられるふたりの音色と歌声は、森の木々にこだましながら、私たちの心に優しく染み渡ります。
プロのおふたりのパフォーマンスの後は、生徒たちの出番。伊那小学校6年智組、伊那小学校合唱団、東春近小学校合唱クラブが順番に登壇し、それぞれこの日のために練習してきた楽曲を、森や観客に向けて清々しく歌い上げました。
第2部のテーマは「愛」です。最初にステージへ上がったのは伊那北高校合唱部。手拍子に乗せて映画のテーマソング「ヘイルホーリークイーン」をリズミカルに歌い、会場全体を盛り上げます。
一転、続く平澤さんと髙橋さんは、「Ave Maria
(エレンの歌第3番)」(作詞:A.シュトルク/作曲:F.シューベルト)、「万霊節」(作詞:H.V.ギルム/作曲:シュトラウス/『8つの歌曲』作品10より)
という晩秋に相応しいしっとりした楽曲を披露。その後髙橋さんは「Amezing Grace」(作詞:J.ニュートン/作曲:不詳)を歌唱し、平澤さんは「ノクターン2番
作品9-2」(作曲:ショパン)と「英雄ポロネーズ 作品53(ショートバージョン)」(作曲:ショパン)を演奏。愛の多様な在り方を表現した、素敵なステージとなりました。
第3部は「森」がテーマ。黄みを帯びた光が斜めに射し込むステージの上で、平澤さんと髙橋さんが「理想」(作詞:C.エリーコ/作曲:F.P.トスティ)、「遠き山に日は落ちて」(作詞:W.A.フィッシャー/作曲:A.ドヴォルザーク/日本語訳:堀内敬三)を奏でます。続いて平澤さんがソロで「もみの木作品75-5」(作曲:シベリウス)を弾き、髙橋さんが平澤さんの伴奏に乗せて「聖なる樹の声」(作詞:松村雅子/作曲:平澤真希)を歌い上げ、ステージはクライマックスの全員合唱へ。
第一部、第二部に出演した生徒たちがステージに集まり、「故郷(ふるさと)」(作詞:高野辰之/作曲:岡野貞一/編曲:浦田健次郎)
と、ミドリナ委員会委員長の柘植伊佐夫氏が作詞、伊那出身のアーティスト天山氏が作曲した「森のこえ」(作詞:柘植伊佐夫/作曲:天山)を大合唱! 伊那小学校、東春近小学校、伊那北高校の生徒たち、平澤さんと髙橋さんの総勢100名以上で、素敵なパフォーマンスを繰り広げました。
最後の曲が終わっても熱は冷めやらず、アンコールとして森のこえを再び合唱。見守っていた観客をも巻き込む大合唱で幕を閉じました。心地よい森のなか、世代を越えてひとつの音楽を共有したひととき。そこに居合わせたすべての人にとってかけがえのない時間になったことでしょう。
総勢100名以上という圧巻のステージ。世代を越えた森のなかでの音楽体験は、子どもたちにとっても一生忘れられない思い出になるはず。
バリエーション方法なグルメが揃うことも、森JOYのお楽しみのひとつです。当日、会場に集まったのは、伊那市や近隣の街で飲食業を営んでいる様々な事業者たち。手作りソーセージやサンドイッチ、ビーフシチュー、鹿カレー、チリビーンズ、おむすび、おやき、チュロス、パンなど盛りだくさん! コーヒーやジュース、クラフトビールなどのドリンクも充実し、来場者のお腹を満たしました。
ちなみにステージで歌声を響かせてくれた伊那小学校6年智組は、奥の森のフードブースにも出店。レンガを積み上げた手作りの釜で、チーズとろける熱々のピザを来場客へ提供しました。
会場内に様々な森遊びを体験できるブースを設けているのも、森JOYならでは。間伐材の丸太を並べたアスレチックや薪割り体験、ブロック遊び、ペレット砂場、フィンランドの伝統ゲーム「モルック」といった身体を動かす遊びから、木の実や葉っぱをたき火で炭化する花炭作りやスワッグ作り、森の基地づくり(新宿の森)などのワークショップまでが揃い、森のあちこちで夢中になる子どもたちを見かけることができました。
さらには森のライブラリー、ハンモック、キャンプ体験ブースなど、森にいる時間をゆったり楽しめるコンテンツや、会場奥のミニステージで生演奏付き紙芝居「紙芝居屋おたにゃんと仲間たち」のパフォーマンスも。様々な森遊びを経験し、子どもも大人も五感を使って森を存分に味わうことができたはずです。
ミドリナ委員会は今後も引き続き、「森・人・美」を理念に掲げ、市民と森の架け橋となるような企画を実施予定です。どうぞ、お楽しみに。
日時 | 2024年11月4日(月・振休)10:00〜15:00 |
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会場 |
市民の森(ますみヶ丘平地林) ⚫︎雨天時 伊那西小学校体育館にて開催。 開場11:00〜14:00終了(予定) コンサートと森グルメの販売を行います。 ※雨天時の判断は、イベントの前日までに本HPや公式LINEにてご案内します。 |
費用 | 入場無料 |
お問い合わせ |
伊那市ミドリナ委員会 (伊那市役所50年の森林推進室内) TEL:0265-78-4111(内線2416) |
デイキャンプなどができる椅子やテーブルの持参も歓迎です。一日、森のここちよさにひたりましょう! マイカップ、マイディッシュ、マイ箸をご持参ください。できるだけゴミゼロのイベントを目指しています。 |
森JOYは、森を感じ、味わい、遊び、語り合う一日です。
森にとっても人にとっても、お互いがなくてはならない、そんな関係になれるように、森JOYからはじめてみませんか?
50年後、森と人がもっと関わり合う未来を一緒に目指しましょう!
ハンモックでまったり
森のアスレチック
北欧の遊び体験
森のスワッグづくり
キャンパーになろう!
森の秘密基地づくり
KEESで遊ぼう
ペレットの砂場
フィンランドってどんな国?
and more...
鹿カレーと鹿串
森のビーフシチュー
森のピザ
手作りソーセージ
焼き菓子
サンドイッチ
炊き立てごはん
コーヒー
クラフトビール
and more...
●自由参加のたき火スポット
たき火で焼いて食べよう!
※焼きたいものをお持ちください
※たき火台は限りがあるため、ゆずりあってお楽しみください
海外でも活躍中のピアニストとバリトン歌手による野外コンサートを開催!
心地よい森で聴くと、音の楽しさが心に響きます!
伊那市内の学校のみなさんも参加します!
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11:00〜 : 森のコンサート 第1部
13:00〜 : 森のコンサート 第2部
14:20〜 : 森のコンサート 第3部
●コンサートには伊那市の学校の皆さんが参加!
伊那小学校 合唱団
伊那小学校6年智組
東春近小学校 合唱クラブ
伊那北高等学校 合唱部
国内外で数々のオペラやコンサートに出演。NY・カーネギーホールでソロリサイタルを行い、大喝采を受ける。
https://www.masanorize.com/
ショパン音楽大学卒業。世界各国で演奏。魅力的かつ独創性ある演奏に定評があり「魂のピアニスト」と呼ばれている。
http://hirasawa-maki.com
※駐車場について
鳩吹公園の駐車場をご利用ください。駐車場から会場までは、森の小径を5分ほど歩きます。歩き慣れた靴をはいてお越しください。歩行が困難な方は、鳩吹公園から会場近くまで送迎できます。