
森JOYは、森を感じ、味わい、遊び、語り合う一日です。
2025年11月2日土曜日、第8回となる伊那市ミドリナ委員会が主催するイベント「森JOY」が幕を開けました。
「森とともに生きるまちを未来へつなぐ」という伊那市の理念を体現するかのように、人々はまちから森へと集います。 深まりゆく秋の日、会場となる横山にある鳩吹公園内の「市民の森(ますみヶ丘平地林)」は、午前10時に開場。多くの来場者を迎えました。
会場の入り口には、森の安全と未来を守るための「森のゲート」が設置されています。野生動物の侵入を防ぎつつ、人々が安心して森で過ごせるようにと整備されたものです。
ゲートをくぐると、木々が生い茂る細道が続き、2〜3分ほど歩くとふいに視界が開けます。そこはまるで森の大広間。土の匂い、揺れる木陰、焚火の煙が、訪れた人を静かに迎えてくれます。
普段の世界とはまったく違う“森の時間”の始まり。森のコンサート、森のグルメ、森で楽しむさまざまな体験が待っています。
森JOYの大きな魅力のひとつが、木々に囲まれた“森のコンサート”です。人工ホールでは決して味わえない、森と音楽と人とが一体となる時間。今年もピアニストの平澤真希さん、バリトン歌手の髙橋正典さんが登場し、伊那の森に豊かな音色を響かせました。
演奏前、「音楽に正解はありません。五感で感じてください」と語った髙橋さんの言葉は、このイベントが大切にしている思想そのもののようでした。
第1部
第1部(午前)は、髙橋さんの深みのある歌声と、平澤さんのピアノが重なる2曲から始まりました。クラシックに馴染みがない人でも息をのむような演奏。なかでもR.シュトラウス作曲「Morgen!」は、髙橋さん自身が“歌のある曲の中で最も美しい”と語る一曲。森の空気に溶け込むような重厚な響きが広がりました。
続く平澤さんのピアノソロ、ベートーヴェン《月光》第3楽章では、会場の空気がさらに深まり、森全体が震えるような迫力に包まれました。“森で聴く音楽”が唯一無二の体験となっていきます。
全7曲の演奏が続いた第1部の締めくくりは、平澤さん作曲の「聖なる木の声」。駒ヶ根市・光前寺の霊木から着想を得た楽曲で、森がはぐくむ命の循環を丁寧に描いた一曲です。子どもの声、食事の音、鳥の声、はぜるたき木の音。そのすべてが自然な“共演者”となりました。
第2部
クラスで飼育する(ミニチュアホースの)ミニちゃんとお散歩している毎日を歌にしました」と語る子どもたち。可愛らしい歌声に会場はほっこり。
西春近南小学校・東春近小の有志の子どもたちによる「故郷(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)」の歌声が郷愁を誘う。
西春近南小学校・東春近小の有志の子どもたちによる2曲目の演奏は「ふるさと(作詞:小山薫堂、作曲: youth case)」。信州伊那で生まれた四角い木の笛『ユカイナ』の演奏とともに。
コンサートの最後は伊那小学校1年仁組&東春近小&西春近南小の有志の子どもたち&ピアニストの平澤さん&バリトン歌手髙橋さん&来場者による合唱!
森との一体感を表現した楽曲「森のこえ(作詞:柘植伊佐夫、作曲:天山)」を全員で歌い上げる。
午後のステージも、平澤さんと髙橋さんの荘厳な演奏によってスタート。凛とした美しい音色が、会場を穏やかに温めていきます。その余韻のなかで登場したのが、伊那小学校1年仁組と、東春近小・西春近南小の有志の子どもたちです。
少し肌寒い花曇りの日でしたが、まっすぐな歌声が響いた瞬間、場の空気は自然と明るくやわらいでいきました。深みのある演奏から、はつらつとした歌声へ。その変化は、ひとつの色から次の色へ、そっと移っていくようでした。 観客も森も、その流れに魅了されていきます。
最後は、ミドリナ委員会委員長・柘植伊佐夫氏作詞、天山氏作曲の「森のこえ」を、伊那小学校1年仁組と、東春近小・西春近南小の有志の子どもたち、そして平澤さん・髙橋さん、来場者も一緒になって大合唱。感動の歌声がステージを締めくくりました。
おおぶりなサンドイッチを頬張る子どもの姿が会場のここかしこに。外で食べるサンドイッチはいつもよりおいしく感じるかも!?
奥の森に出店した食堂野山のメニューは今年も大人気。写真は鹿炭火焼き。このほか、じっくり野菜を炒めて作った(グルテンフリー)鹿カレーにも行列ができていた。
炭火で焼き上げることで県産豚肉の旨みがさらにUP! 高遠の人気手作りソーセージ店「BUTCHER」は今年森JOY参加2年目。
伊那市街地に実店舗のある自家焙煎コーヒー店「リヤコーヒー」。肌寒い気候の中、温かなコーヒーでホッと一息つけるのがありがたい
クラフトビール醸造所イナデイズブルーイングのブース近くでフォカッチャにかぶりつく女の子。そのほか、濃厚なバターナッツとトマトのスープなども用意されていた。
森の小道沿いに出店していたミドリナ委員会のブースの一角。湿らせた新聞紙とアルミホイルとでくるんで焼き芋や焼きリンゴはいかが? スタッフの方の指導のもと、焚火で焼いて食べられる食材たちがスタンバイ。
販売されているグルメをよりおいしく食べる方法など出店者との会話も弾む。ごみの処理の仕方など、大人が子どもに自然に伝えていく姿も見られた。
ほかほかのきのこ汁。山の恵みがたっぷり。
お食事にぴったりなケークサレ、おやつにもってこいのパウンドケーキ・シフォンケーキなどが並ぶ。
森JOYには、伊那市駅前や近隣地域から人気の飲食店が多数出店します。その日ばかりは市街地が少し静かになり、にぎわいが森へと移動するようでした。
手作りソーセージ、森のビーフシチュー、鹿肉のカレー、サンドイッチ、焼き菓子、おむすび、きのこ汁、天然酵母パンなど、どれも森で食べたくなるような逸品ばかり。コーヒーやミカンジュース、クラフトビールもそろいます。
また、来場者が持参したアルミホイルに包んだ芋やソーセージ、マシュマロを焚火であぶって食べる姿も見られ、森には常においしそうな香りが満ちています。
食べ物の容器にはプラスチックが極力使われず、経木や割りばしが活用されています。食べ終えたら焚火に入れられ、子どもたちは燃えていく割りばしを興味津々で見つめていました。森に負荷をかけない食べ方が、会場全体にやさしく根づいています。
会場には体験ブースが点在し、間伐材を使ったアスレチック、木の枝や落ち葉などの素材で自由につくるクラフト、ハンモック、まき割り体験、フィンランドの遊び紹介など、子どもたちの感性を刺激するスポットがたくさん設けられていました。
とはいえ、解放感に魅了された子どもたちは、ブースへ向かう前からすでに大はしゃぎ。ふかふかの落ち葉が積もったやわらかな土の上を駆け回り、ちょっとした斜面や大きな葉っぱなど、なんでもおもちゃにして楽しそうに遊ぶ姿が見られました。
まるでフードコートのように整備された奥の森では「紙芝居屋おたにゃんと仲間たち」による紙芝居の上演も。チェロ・ヴァイオリン・フルートの生演奏をBGMにした「よだかの星」は、赤ちゃんから大人まで、たくさんの人に観覧されていました。
子どもが自由にものづくりするのを見守る伊那市の造形教室「つくるこつくりて」のブース。長い枝、短い枝、木の実、葉っぱ、色とりどりの毛糸…さて何ができるかな?
ミドリナ委員会「森のスワッグ作り」のブース。スワッグとはドイツ語に由来していて、花や木などの植物を束ねて作る壁掛け飾りのこと。クリスマスにピッタリな飾りの出来上がり。
森の奥に設けられたミニステージで開催された紙芝居。まるで絵本の世界に迷い込んだようなひととき。
信州・伊那の間伐材利用プロジェクト【キーズ】のブース。木製ブロックKEES(キー ズ)で遊べる「木育ワークショップ」ではたくさんの子どもたちが木の魅力に触れた。
伊那市と交流のある国・フィンランドをテーマにした「フィンランドゆるブース」のフィンランドクイズに挑戦する女の子。伊那市とフィンランド共和国北カルヤラ県は、林業や再生可能エネルギー、木材利用、バイオエコノミー分野を中心に、相互に協力関係を築いている。
まき割りワークショップでは、“本物のまきを割る”という本格的な体験が人気。ミドリナ委員会スタッフから体の動かし方のコツをしっかり聞いてから、大きな斧を振り下ろす子どもたち。
ハンモックで遊ぶ子ども。ミドリナ委員会スタッフたちによって前日から整えられた森には、危険な切り株などは見当たらずどこも柔らかくふかふかな地面が広がっている。万が一落っこちても安心。
伊那市のブランドスローガン、そして今年の森JOYのテーマでもある「森といきる」。
この言葉には、自然を守るだけでなく、人の暮らしと森の営みを日常の中で結び直し、未来へつないでいくという市の明確な姿勢が込められています。その理念を市民とともに実践する場として「森JOY」を主催しているのが、ミドリナ委員会です。
森JOYは、森の魅力や学び、文化、癒しといった多様な価値を共有しながら、次の世代へ手渡していくための取り組みのひとつ。8回目の今回は、子どもたちの小さな発見や、来場者同士の自然なやり取りなど、森の中で生まれる何気ない体験が幾重にも重なっていく様子が印象的でした。副題として掲げられた「50年後のきみたちへ」という言葉も、特別な演出がなくても、森で過ごす一日そのものを通して、自然と共有されていたように思います。そこで感じた気づきや温度が、これからの伊那の森を支える小さな種になっていくのでしょう。
ミドリナ委員会はこれからも「森・人・美」を理念に、市民と自然の橋渡しを続けていきます。来年、またこの場所でお会いしましょう。
ミドリナ委員会は今後も引き続き、「森・人・美」を理念に掲げ、市民と森の架け橋となるような企画を実施予定です。どうぞ、お楽しみに。
| 日時 | 2025年11月2日(土)10:00〜15:00 |
|---|---|
| 会場 |
市民の森(ますみヶ丘平地林) ⚫︎雨天時 雨天時は伊那西小学校体育館にて 11:00より開催 コンサートと森グルメの販売を行います。 ※雨天時の変更については、公式LINEにてご案内します。 |
| 費用 | 入場無料 |
| お問い合わせ |
伊那市ミドリナ委員会 (伊那市役所50年の森林推進室内) TEL:0265-78-4111(内線2416) |
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デイキャンプなどができる椅子やテーブルの持参も歓迎です。一日、森のここちよさにひたりましょう! マイカップ、マイディッシュ、マイ箸をご持参ください。できるだけゴミゼロのイベントを目指しています。 |
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森JOYは、森を感じ、味わい、遊び、語り合う一日です。
森にとっても人にとっても、お互いがなくてはならない、そんな関係になれるように、森JOYからはじめてみませんか?
50年後、森と人がもっと関わり合う未来を一緒に目指しましょう!
11:00 : 森のコンサート 第1部
11:30 : 暮らしと森を近づけるアイデアのご紹介
13:00 : 森林を使って、やりたいこと
14:00 : 森のコンサート 第2部


あなたにとって「森といきる」って? フィンランドゆるブース 森と福祉 北欧の遊び 伊那小学校 ポニー ハンモックでまったりしよう 森のアスレチック キーズで遊ぼう ペレット砂場 キャンパーになろう 薪割り 花炭づくり 森のスワッグ作り
●紙芝居&カルテットのライブ共演も!
開催時間 : 12:15〜13:00




ミカンジュースとサンドイッチ 焼き菓子 鹿の炭火焼き、鹿カレー 手作りソーセージ コーヒー クラフトビール 森のビーフシチュー 天然酵母パン
●自由参加のたき火スポット
たき火で焼いて食べよう!
※焼きたいものをお持ちください
※たき火台は限りがあるため、ゆずりあってお楽しみください




海外でも活躍中のピアニストとバリトン歌手による野外コンサートを開催!
心地よい森で聴くと、音の楽しさが心に響きます!
コンサートは2部構成♪いずれもお見逃しなく!
11:00〜 : 森のコンサート 第1部
13:30〜 : 森のコンサート 第2部
●コンサートには伊那市の学校の皆さんが参加!
伊那小学校 1年仁組
西春近南小学校
東春近小学校




国内外で数々のオペラやコンサートに出演。NY・カーネギーホールでソロリサイタルを行い、大喝采を受ける。
https://www.masanorize.com/
ショパン音楽大学卒業。世界各国で演奏。魅力的かつ独創性ある演奏に定評があり「魂のピアニスト」と呼ばれている。
http://hirasawa-maki.com
※駐車場について
鳩吹公園の駐車場をご利用ください。駐車場から会場までは、森の小径を5分ほど歩きます。歩き慣れた靴をはいてお越しください。歩行が困難な方は、鳩吹公園から会場近くまで送迎できます。